□ 送迎 □
朝からメールが来てたらから見てみると、恭弥さんからだった。凄く短い文章で、風邪を拗らせて入院してるからって着てて、恭弥さんでも入院することあるんだって思ったらちょっと驚いた。お見舞いに行かないとって思って、どこの病院ですか?って聞いたら並盛中央病院って名前だけ帰ってきた。
確か、ここからわりと近かったはず……お見舞いに何を持っていったらいいかなってと思ってリビングに行ってみると、満がTVを見てたら横に座った。
「あのね、恭弥さんが入院したらしいんだけど……」
「入院したんですか?!珍しいですね~病院とは縁がなさそうに見えたんですが……」
「うん、その気持ちはわかるけど……それより、何もって行ったらいいと思う?やっぱり定番のお花とかかな?」
「そうですね~食べ物関係は病院食で栄養関係が調整されてるので、あまり持っていかない方がいいみたいですね……お花は、花屋で花粉を切ってもらってから持っていく方がいいみたいですよ。花粉が飛ぶと迷惑になるそうですから」
「そっか…・・・じゃあ花束でも買って行こっかな。うん、そうしよっと。ごめん、満。ちょっとお見舞いに行ってくるね!」
「はいっ。いってらっしゃい!あ、ついでにお大事にって伝えといてくださいね!」
急いで部屋に戻って着替えようとして制服か満推薦の服かで迷った。結局は病院だし無難に制服にしようって思って制服に着替えて家を出た。途中で、商店街に立ち寄るとお花屋さんでカスミソウとピンクのバラの花束を買って並森中央病院に向かって進んだ。途中で黒塗りの高級車を見かけて、住宅街なのに高級車って凄い違和感が……って思いながら見ていると車が急に止まりだして中から金髪のお兄さんが出てきた。その人が知人に凄く似てて驚いて思わずじっと見てると向こうから、どんどんこっちに近づいてくる。
「……?もしかしてか!?」
「え……もしかして、ディーノさん……?」
「やっぱりなんだな!」
「そうですけど……なんで……きゃっ」
返事をすると同時に思いっきり抱きつかれて後ろによろめいたけど、がっしりと?まれてたせいで倒れなかった。それよりも、なんでイタリアに居るはずの彼がここに居るのかが不思議で仕方なかった。
「ちょ、あの、いったん放してくださいっ」
「あ、わりーな。みたら抱きつきたくなっちまって」
苦笑しながら放してくれたけど……これは、あれかな。欧米風の挨拶よね……と、一人で納得した。それよりもなんでこんなとこにディーノさんが?って疑問のほうが凄く強かった。
「あの、なんで日本に居るんですか?……それもこんな住宅街に」
「ああ、それはな。弟分のお見舞いに着たんだが……まさかこんな所でに会うって思わなかったぜ」
「私も……最初、そっくりさんかと思ってましたけど……まさか本物だなんてびっくりですよ。でも弟分って……もしかして、沢田くんの事ですか?」
「そーだ。それにしてもよくわかったな」
「あ、それは簡単ですよ。リボーンが今教えてるのが沢田くんだからです……え、ってことは……お見舞いって沢田くんのお見舞いってことですか?!」
「ああ、……もしかしてもお見舞いに行くのか?」
「はい、私のは沢田くんじゃないですけど……」
「なら、一緒に行った方がはえーな」
私が返事をする前に、車の所まで引っ張られた。入るのに少しためらったけど、目的の場所は一緒だからってことで車の中に入り込んだ。さすがに高級車なだけあって、中は普通の車と違って広さがあってかなり快適な座り心地だった。
「わざわざありがとうございます」
「気にすることなんてねーぜ。俺が無理やり乗っけたようなもんだからな」
まさにその通りだから何も言えずに笑って答えた。あまりに懐かしいのと、長い期間会って居なかったのとで、なんて話せばいいのか解らなくて二人とも無言だった。まあ、並森中央病院までそんなに時間かからないし……あまり気にしないことにしたてら、向こうから先に口を開いた。
「その、さ……なんで急に九代目の所から逃げ出したんだ?」
「え……それは……」
いつかは聞かれるって思ってたけど……いきなりそこから切り出してきたことに対して少し驚いた。それをディーノさんは聞いてはいけないことと勘違いしたらしく、少しばつが悪そうに顔をしかめた。
「わりーな、言いたくなかったら別にいーんだ。ただ、俺は「九代目のことは今でも大好きですよ?本当のおじいちゃんのように思ってます。ただ……私が日本に帰りたかっただけで……」」
「そっか」
「満から日本の話を聞くたびに小さな頃を思い出して……それで、母の故郷の日本に帰りたくなったんです。それに私、元々は日本に住んでましたから」
「日本に住んでたのか?なら、仕方ねーよ」
ほんの少し、しんみりとした所にディーノさんの手の平が頭を軽くぽんぽんと撫でてきた。その動作に、まだボンゴレに身を寄せていたときの頃を思い出した。
「ふふっ、なんだか昔を思い出しますね。初めて九代目に付き添って会った時も、戸惑ってた私の頭を撫でてくれましたよね」
「ああ、そうだな。あの頃、はイタリア語がほとんどわからなくて日本語のわかる九代目の側にいつも居たからな」
「そうですね、九代目は本当に穏やかで優しくて……いつも本当の娘のように可愛がってくれました」
九代目のことを思いだして、胸が締め付けられるように苦しくなった。あんなに大切にしてもらったのに……結局はそれを裏切るように出て行ってしまったこと。せめて九代目には一言だけでも伝えるべきだったのかもしれないのに。でも、本当は……九代目の息子さんの存在を知ってしまったから、自分が息子さんの代わりに愛情を受け止めることができなくて逃げ出してしまった。
「なあ、。もし、よかったら……俺とイタ「あ、付きましたよ。並森中央病院」」
「あ、ああ。そうだな」
「早く行かないと、沢田くん退屈にしてるかもしれませんよ?」
どんどんと考え方が暗くなってきそうで、この話をあまり続けたくないなって思ったときに並森中央病院が見えてきた。思わずディーノさんの言葉をさえぎるように話すと、車のドアを開けて外に出た。車の外から出ると、空が晴れやかな晴天でさっきまでの暗い考えが吹っ飛んだような気分になった。