□ 会議室 □
朝、起きて見るとなんだか体がだるくてフラフラする。頭も痛いし、これはもしかしてと思って熱を測ってみると39度もあってその日は学校を休んだ。一応、メールで"熱が出たので今日は休みます"って草壁さんに送ったんだけど…というか、草壁さんのメアドしか知らないし。その後は一日中ずっと寝たままで過ごしてなんとか熱も引いたのはいいんだけど、次の日は学校が凄く行きづらかった。それでも行かないと後から大変なことには変わらないし。結局、一時間目が終わったくらいに学校に行った。
「あ、さん。大丈夫?」
「うん、心配かけてごめんね、沢田くん」
自分の席に座ってカバンを机の横にかけていたら、後ろの方から京子ちゃんの声が聞こえた気がしたから後ろを振り返って見ると京子ちゃんが居た。どうも何回か呼ばれていたみたい。
「ちゃん!熱はもう大丈夫なの?」
「うん、熱はすぐに治ったから大丈夫だよ。ごめんね、心配かけちゃったみたいで」
「ううん、それより治ってよかったね!あ、そうだ。これ、昨日のノートなんだけどよかったら使ってね!」
「え、ノート?ありがとう!」
ノートってたまにノート提出があるからこういうのって凄くありがたいなぁ。借りたノートを早速開いて簡単に昨日の授業内容をチェックしていく。ほとんど流し読み状態だったから全部に目を通したくらいにチャイムがなってすぐに授業が始まった。
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やっと午前の授業が終わってお昼休みになったのはいいんだけど、今度はお昼をどうしようかすっごく悩む。一応、お弁当を持って応接室の前まで来たのはいんだけど…なんだか凄く入りづらい…どうしよう。応接室の前でたたずんでいたら扉が開いてかなりびっくりして心臓が早鐘を打つみたいにバクバクいってる。
「なんだ、お前か…」
「……草壁さん?もう驚かさないでくださいよ!」
「お前が勝手に驚いただけだろう」
「そ、それはそうですけど…」
「丁度いいな。よし、これを委員長に届けてくれないか?この書類なんだが…」
目の前に出された紙を思わず受け取ると、軽く目を通した。一番上に委員会議って書いてあって、色んな部活の名前と金額が書かれていた。たぶん、委員会議で使う資料だと思うんだけど、それにしても…。
「恭弥さんが忘れ物って珍しいですね…」
「そうだな。まぁ、だいたいの想像はつくが…それよりも委員長は会議室で委員会議に出席している。この下の階の突き当たりに会議室があるから頼んだぞ」
「え、あの…私まだ行くなんて言ってないんですけど…あ、行っちゃった…」
急いでるらしく私の返事を聞く前に草壁さんは廊下を歩くような感じの小走りで進んでいった。結局、書類を渡された私は絶対に行かないといけないじゃない。ため息を一回だけつくと応接室にお弁当をおいて急いで言われた会議室に向かっていった。
会議室まではすぐに着いたけど…本気で入りにくい。さすがに会議中に入るっていうのはちょっと気が引けるけど…でも渡さないといけないし。軽く扉を叩いてから開けると、部屋の中にいる全員が私の方を向いていた。気にせずに軽く挨拶をすると部屋の全体を見渡す。するとすぐに目的の人物が見つかった。ちょうど窓のところに恭弥さんがもたれるようによりかかっていた。
「なに?どうかしたの?」
「あの、忘れ物を持ってきたんですけど…」
急いで側まで行くと持っていた書類を差し出した。恭弥さんはそれを受け取ると「今日の放課後はちゃんと応接室に着てよ」って一言だけ言ってきた。これは絶対に行かないと後が恐ろしいなって思ってたら後ろの方から他の生徒の声が聞こえてきた。
「ずるくねー?」
「あれってぇ、カノジョだよねー?」
「風紀委員って部員にカノジョ入れるんだー」
なんだか文句言われてる。ちらっと見ると緑化委員って書いてある…あれ、確か委員会議って代表が一人のはずだったような気がするんだけど…なんで三人もいるの。そう思ってると横からため息らしきものが聞こえた。
「また君たちか…」
「またって…?」
「さっきも僕にたてついてきたんだよ」
「そうなんですか…じゃあ、渡すものも渡したしそろそろ行きますね」
さすがに目立ちすぎてるからそろそろ部屋から出ようとしたときに、緑化委員会の人と目があったからにっこりと微笑んであげた。なんだかタコのように顔が真っ赤になってるのを見たらちょっとだけ面白かった。
「ひがみは、みっともないですよ?」
緑化委員の人たちにそれだけ言うと、部屋からさっさと出て行った。あの人たち、絶対に後で悲惨な目にあってそう…恭弥さんってそういうところ容赦しなさそうだし。ああ、でも風紀委員の人たちとかも勝手に行動してそう。そんなことを思いつつお昼を食べるために教室に戻った。