□気がつけば□
青春ってこんなもの?だんだんとそう思ってきた。
なぜかっていうと、学校の靴箱の中になぜか手紙がよく入ってるし、呼び出されていってみると告白。
しかも最近じゃあ休み時間ごとに呼びされる。学校って授業をしたり友達と他愛もない話をしたりするところじゃないの?
すくなくともそれが青春だと私は思ってるのに。思わずため息をつきながら机の上に突っ伏していると横から沢田くんの声が聞こえてきた。
「なんだか大変だね」
「うん、さっきも呼び出されたし…なんかもうめんどくさいなぁ」
沢田くんの乾いた笑いをききつつ、またため息をついてると入り口のほうでクラスメイトが誰かと話しているのが目に入った。
クラスメイトは教室のほうに向きかえると大きな声で名前を呼んだ。
「おーい、。また呼び出しだぜ」
「また?!はぁ~…じゃあ行ってきま~す」
しぶしぶ重たい体を引きずっていくと、なんだか校舎のあまり誰も通らなさそうな感じのところに連れて行かれた。
しかもどことなく見覚えるある木の下。ふっと気が付くと先ほどの少年がじっとこっちを真剣に見ていた。
「あの、つ、付き合ってください!」
言うとともに思いっきり頭を上げられた。毎度毎度みんな似たようなことばかりしてるなぁ~とか思ってじっと見てたけど、返事をしないのは気まずいからさっさと返事をした。
「ごめんなさい」
「あの………………付き合ってる人は居ませんよね?なら、試しにってことでいいですから!お願いです!」
なんだか今回のはしつこい感じがする。普通の人ならごめんなさいの一言で去っていくのに。
それ以前に試しにとか意味がわからない、付き合うのにためしって何??
「ねえ、君たちそこで何してるの?目障りなんだけど」
頭の中が止まってると上の方から声が聞こえてきた。上を向くと恭弥が不機嫌な顔を窓からのぞかせていた。
そういえば、学校の下見をしに着てたときあそこの窓から外を見てたことを思い出した。
「恭弥さん……」
「げ、風紀委員……」
思わず名前が口からポロリと出てしまった。それと同時に窓に手をかけると猫が飛ぶように軽く飛び降りた。
告白をした少年は顔を赤くさせたり青くさせたりしていた。ちょっと面白いかも。
「な・な・なんでもないですー!」
「…走って行っちゃった…変な人…」
「……後でかみ殺しておこうかな。それで、君何してたの?応接室の真下で」
「え、呼び出されたから着ただけだけど?」
「そう、そういえば君って最近風紀を乱してない?男たちがそわそわして迷惑なんだよね」
そうわそわ?もしかして手紙やら呼び出しやらのことを言ってるのかな。
でもそればっかりは私じゃどうしようもないし、とりあえず謝ろう。
「ごめんなさい。……でも、私も迷惑してるんです。むしろ困ってるんです、本気で」
「ふぅん…」
少し恭弥が考えこんだと思ったら、何か面白いものを見つけたときみたいな感じで微かに笑った。
「なら、こうしたらいいよ。僕と付き合ってるって言えばいい」
「はい?え~っと…それは…」
「まぁ、簡単に言えば付き合ってるってことにしたらいいんだよ。そうしたら告白しようってやつは来ないからね。でも、それじゃあ僕にメリットがない」
「そうですね~…」
「ということで、君には風紀委員に入ってもらうね」
……今、なんだか確定っぽく聞こえたんですが、気のせいですか?
あまりにびっくりしすぎてぼけっとしていたら勝手に話が進みはじめてる。
「ということで、放課後に応接室まで来てもらうよ。それじゃあね」
結局、恭弥は返事も聞かずにさっさと行ってしまった。きっと放課後に応接室に行かないと色々と大変なんだろうなぁとか思いつつ教室に戻った。
それにしても私が言うのもなんだけど、変な人ばっかりだなぁ…この学校。