□クラスメイト□
教室の前で合図がくるのをじっと待っている。担任の先生の挨拶が終わると、名前を呼ばれて教室に入っていく。
こういう自己紹介とかは初めてのことなので少し緊張して動きが硬くなる。
扉を開けて中に入ると、教室がすごいざわめいた「すごい綺麗な子だね~モデルかな」とか「うっわ、ヤバイって~惚れそう~」とか色んな声が教室内を飛び交っている。それを遮るかのように担任が口を開いた。
「えー、今日から転校してきた、だ。はイタリアからやってきたらしいから、わからないことがあったら教えてやってくれ。それと今まで闘病生活をしてきたらしく学校に通うのも初めてだそうだ。本来なら二年生だが、学校が始めてということで一年からだ。みんな仲良くな。」
「 です。日本に着て間もないので色々と迷惑かけるかもしれませんが、よろしくおねがいします。」
挨拶をして頭を下げる。たしか日本の挨拶の仕方はこれでよかったはずと思いつつ、最後ににっこりと微笑んでみた。
そうしたらまた周りから色々な声が飛んできた。
「席は~…そうだな、沢田の横が空いてるか。よし、あそこの空いてる席に行ってくれ」
「はい、窓際の席ですね」
言われた席の方に向かって歩いて行くと、やっぱり周りがざわつき始めた。それも完全に無視することにした。
沢田くんの横の席に座ろうとしたとき、視線を感じたからふと見てみたら、なんだかものすごく目つきの悪い銀髪の子と目が合った。
とりあえず、何も見なかったことにしよう。
「はじめまして。え~っと、沢田くん?」
「え、あ、はい!よ、よろしく!」
「ふふっ、そんなに緊張しなくていいよ?ごめん、教科書がまだないの。よかったみせてくれる?」
「う、うん!俺のでよかったらどうぞ!」
またにっこりと微笑んでお礼を言ってから、教科書を見せてもらって授業を受けた。
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授業が終わって休み時間になると、すごい人だかりができた。しかもみんな質問ばかりで困っていると、すごく目つきの悪い銀髪の子が立ち上がった。
「お前ら!十代目が困ってんだろ!いい加減にしねぇと…」
「ご、獄寺くんっ」
何か服のしたからダイナマイトらしき筒を取り出して、それを見た沢田君が慌てて抑えようとしている。
日本って…治安がいいはずよね?なんでこんな凶暴そうな人たちがいるのかなとか不思議に思ってるとチャイムがなってまた授業が始まった。
結局その後の休み時間もなんとか乗り切って昼休みの時間が来た。
「あの、さんって、お昼どうするの?」
「う~んっとお弁当持ってきてるんだけど…どうしよう。このまま教室に居てもうるさそうだし…ね、どこか静かな場所ってないかな?」
「静かな場所…そうだ、俺たちいつも屋上でご飯食べてるんだ。その、よかったら…」
「屋上かぁ~…うん、私も一緒していい?」
「う、うん!さんさえよければ」
「え、こいつも行くんすか?」
沢田くんと話しているといつの間にか銀髪の子も割り込んできた。
なぜだかその子にすっごく嫌そうな顔をされてる。なんていうか、不信感全快?みたいな感じの顔。
「行ったらダメなの?」
「そ、そんなことないよ!ほら、人数が多いほうがにぎやかで楽しいしさ。ね、極寺くんもいいよね」
「十代目がそう言うんならいいっすよ」
沢田くんが言うと、なんだかしぶしぶって感じだったけど獄寺くんはうなづいた。
その後、お昼になると私たちは屋上へと向かって歩いた。まぁ、私は転校したばっかりで道がわからないから二人の後を付いて行っただけなんだけどね。
「うわぁ、さんのお弁当っておいしそうだね」
「ありがとう。それにしても私がいうのもなんだけど、本当に気合が入ってるお弁当よね」
定番の玉子焼きとかベーコンのアスパラ巻きとかの他にも色々とおかずが入れられていて、赤や黄色や緑の色とりどりの野菜で色付けしてある。
ご飯はご飯でまたふりかけとかでカラフルに飾られていてとても豪華に見える。
ふと、横を見てみると極寺くんがごそごそとパンを取り出してた。
「獄寺くんはパンなの?」
「悪ぃかよ」
「そんなことはないけど……それ、珍しいパンよね。その中の白いものって何?」
パンの中に麺らしい細いものが挟まれていて思わずじーっと見てしまった。
心なしか、獄寺くんににらまれている感じがする。
「あ、さん。それ、そうめんだよ。見たことない?」
「うん、つい最近までイタリアに居たから見たことないわ」
「まぁ、イタリアだと見かけないよな」
「そうめんっていって、水で冷やしたこういう麺をたれにつけて食べるんだ。だいたい毎年夏くらいになるとよく食べるんだよ」
「ふぅん…それっておいしいの?」
「うん、おいしいよ。ノド越しがよくて食べやすいしね。今度食べてみるといいよ」
「うん、そうするね。あ、休み時間が半分終わっちゃってる…急いでご飯食べないと」
慌ててご飯に手をつけ始めた。よく見ると二人は半分ほど食べ終わっているから、どうも話しているうちに少しずつべていたみたい。
「そういえばいつもなら山本も居るんだ」
「山本?うちのクラスの人?」
「うん、友達なんだ。でも今日は風をこじらせたみたいで休みなんだ」
「へぇ…そうなんだ」
「けっ、あんなやつ居ないほうがせいせいしますよ」
こっそりと沢田くんが耳打ちをしてきた「獄寺くん、山本とあまり気が合わないらしいんだ。あまり気にしないで居てくれるとうれしいんだけど」
「う、うん…そんなに仲が悪いの?」私の質問に躊躇いがちに苦笑いをすると「なんていうか、獄寺くんが一方的に嫌ってるだけなんだ」と言って頭を軽くかいた。
それから間もなくしてから予鈴がなって慌てて弁当を包み込むと三人で教室に戻った。
沢田くんにはその後も色々と親切にしてもらって、放課後も家までの道を途中まで同じだからって送ってもらった。
なんだか沢田くんとはいいお友達になれそうな予感がした。