□ 道連れ □



もう一回行ってみると病室が代わってったらしくて、また看護士さんに場所を聞いて移動した。病室の前に行くとリボーン達が居て、やっぱりこっちも京子ちゃん達と同じ服装をしてる。イーピンちゃんだけは、チャイナ風のちょっと違った衣装を着てた。

「ちゃおっす。も着てたのか」
「こんばんは、リボーン。リボーンも沢田くんのお見舞いに来てるの?というか、その服装って……もしかして私たちと同じ事をしようとしてる?」
「そーだぞ。ハルたちから誘われてな。ん、てことはおめーも行くのか?」
「あはは……まあ、成り行きというか……」
「そーか。ま、だいたい察しはつくけどな。んじゃ、ちょっと行ってくるぞ」

そういうと、リボーンとイーピンは扉を開けて入っていった。沢田くん、驚くだろうなぁ……なんてことをのん気に考えながら見送った。

「お祓いにきてやったぞ。」
「リボーン!イーピン!!!そのカッコウなんのつもりだよ」
「最近のツナ、ケガが多いからな。ぜってーなんかとりついてるぞ」
「縁起でもないこというなってっ!気分悪いなーっ!」

入り口の前辺りに居るせいで、リボーンと沢田くん話が聞こえてきた。確かに、入院中にお祓いってあまり気分のいいものじゃないかもと、少し苦笑してたらハルちゃんが横をすり抜けるかのように通って沢田くんの前までいった。

「気分を害してスミマセン……怪我のときこそ笑いが一番……ププって笑ってもらえるかと思ったんです……」

落ち込んでるハルちゃんを見てると、なんだか可愛そうになってきて思わず前に出ていった。京子ちゃんも同じことを思ったらしくて、一緒にハルちゃんの所まで歩いていった。

「え、さん?!それに京子ちゃんもー!!?」
「ハルちゃん……ごめんね、沢田くん。別に悪気があってしたんじゃないから許してあげて」
「いえ、ハルが悪いんです。みんなも巻き込んじゃって……ごめんなさい」
「元気出してハルちゃん!私、凄くたのしいし!」
ちゃん、京子ちゃん……ありがとうございます」

京子ちゃんと二人でハルちゃんを励ましてたら、前に巫女さんの服には男の浪漫があるっていう話を聞いたことがあるのを思い出した。ほとんど思いつきみたいなものだけど……とりあえず提案してみることにした。

「あ、神主さんの服がダメなら、癒しを求めて巫女さんの服とかどうかな?」
「巫女さん……ですか?」
「うん。前に満と神社に行ったときに……巫女服には浪漫があるってネットで見たことがあるって聞いたことがあるの」
「巫女服か……なかなか良い所をつくな」
「ちょっ……さん!?いきなりなに言い出すの?!!リボーンも何いってんだよ!巫女服は別にいいからっ」

すごい慌てふためいてるらしく、頭を左右に振って、ついでに両手まで振りながら全身で否定してる沢田くんがちょっと面白く見えた。

「え、ダメなの?せっかく良い考えかもって思ったのに……」
「さあ、みんな帰るぞ。シャレのわからない冷酷ツナはご立腹だ。ここに居るとなぐられるぞ」
「いやいや!そんなことあるわけないだろ!すごくうれしかったし!!ただちょっと、普通のお見舞いが……」

やっぱり、沢田くんも普通のお見舞いの方がよかったんだ……でも、少しタイミングが遅かったみたいで、みんなリボーンに促されて病室から出て行くところだった。

「気を使ってくれて、うれしーです。ツナさん」
「ツナ君、早く元気になってね!」
「うん、今度は普通にお見舞いに来るね。じゃあ、またね。沢田くん」

私も沢田くんに軽く手を振ってから、空気というか……その場の流れに沿うように病室から出て行った。途中で京子ちゃん達に一緒に遊びに行こうって誘われたけど、まだ恭弥さんのお見舞いに行ってないから用事があるからごめんねって断ってから、病院の玄関で別れた。
恭弥さんのところに向かおうとして、途中で船盛りを持ってる人を見た。あんまりに珍しいから興味津々でこっそりと見てると、凄く見覚えのある人物ってことに気がついた。

「え……うそ、山本くん!?」
「ん、あれ。じゃねーか。もツナのお見舞いか?」
「あはは、まあ……そんなもんかな……それより、それって船盛りでしょ?なんでそんなもの持って歩いてるの?」
「これか?うちの親父、人に物やるの好きなんだよ。それでツナのお見舞いに行くって言ったら親父が持ってけってさ。あ、よかったら一つ摘んでみるか?」

一言、お礼を言ってからマグロを指で摘んで口に放り込んでみた。放り込むと同時に「あっ」って声が山本くんから聞こえてきたから振り向くと「醤油ならタレ瓶に入ったやつが」っていい始めた。もうその時は手遅れというか……ワサビ醤油がなくて、生のマグロの味しかしないマグロを噛んで飲み込んだ。当然、美味しくなかった。その後、山本くんはナマモノだからさっさと持ってくなって言うと船盛りを持って沢田くんの居る病室の方に向かって歩きだした。

「これはこれは……若きさんじゃありませんか。何時の時代のさんもお美しい……」
「え……あれ、この声って」

なんとなく、聞き覚えのある声がして後ろを振り返ってみると、十年後のランボくんが居た。なぜかこっちの方をうっとりとした目で見てるような……不思議に思って名前を読んで見ると、普通のランボくんに戻った。

「もしかして、ここは病院ですか?なぜ病院に……」
「あ、それはたぶん……沢田くんが入院してて、みんなお見舞いに来てるからじゃない?」
「なるほど……ということは、若きボンゴレは入院中で、幼い自分はお見舞いに来てる……ということですか?」
「うん、そうなるかな?みんな見舞いに行ってるみたいだからランボくんも行ってみたら?」
「そうですね、そうします。さんは行かないのですか?」
「あ~うん。私はもう二回も行ったから……それより、恭弥さんの所に早く行かないと……」

恭弥さんの名前がでたとたんに、ランボくんの顔がみるみる青ざめてきた。もしかして体調が悪くなったのかなって心配になって近づいてみると、心なしか震えてる気がする。

「ら、ランボくん?なんか顔色が悪いけど……どうかしたの?」
「ひっ雲雀氏ですかっ……は、早く行かれたほうがっ……いえ、むしろ今すぐ行った方がっ」
「え、急にどうしたの?」
「俺は若きボンゴレのところに行きますから!絶対に雲雀氏の所に行ってくださいね!」

言うと同時にランボくんは、廊下の方に早足で向かった。それがまるで必死に何かから逃げるように見える。なんで急に……そういえば、恭弥さんの名前に反応してた?ということは、絶対に未来で何かされたんだ。恭弥さんならありえそうで、少しランボくんが可哀想にみえた。
それより、ランボくんに言われたとおり早く恭弥さんの所に行かないと……そろそろ怒ってそうな気がする。